「書を捨てよ、町に出よう」と誰かがおっしゃった。
しかし、いまの時代、我らが手中にあるのは書ではなくスマホである。
しかれば書を捨ててはならない、手が空けばスマホを握ってしまう。
スマホに比べれば読書の虫になることの害悪などなんと可愛いものか。
本ばかり読んでいたって多少暗くなるか、運動不足になるかくらいのものだ。
そもそも、現代の日本人なんて大方根暗で、運動不足なのだから問題なかろう。
スマホはどうか?スマホは人間を丸ごとダメにするポテンシャルを持った快楽装置だ。
とくにSNSというやつは曲者だ。無限に人間の興味を刺激し画面に釘付けにさせる。
この時、万物の霊長たる人間も、目の前に人参をぶら下げられた馬となんら変わらない。
どこの誰に聞いたか分からないので真偽の程は定かでないが、回転寿司は皿が目の前を通り過ぎていく様が、人間の奥底にある獲物を追う本能を刺激するため、満腹にも関わらず手が伸びてしまうそうだ。だとしても腹には分かりやすい物理的な限界がある。しかし、脳みその限界はなかなか自分では分からない。だから歯止めが効かない。
流れてくる刺激物を見続ける、見続ける。
これはいけない。
無理やり脳のシナプスを発火させ続ける一種の拷問だ。
しかし、どうすればスマホも見ないでいられるか?
人間の時間を奪うありとあらゆる策が講じられているゆえ、
かなり強靭な意志がなければ普通は抗うことは叶わない。
だから書を持つのだ。これが簡単な答えだ。
幸い人間の手はふたつしかない。
スマホを捨てよ、書を持とう

コメント